矢野顕子+TIN PAN(細野晴臣/林立夫/鈴木茂)ライブ

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 ニューヨーク在住の矢野顕子が日本に“里帰り”して行なう年末恒例のライブ「さとがえるコンサート」。ここ最近は、昨年の奥田民生、一昨年の清水ミチコといった様々なアーティストを迎えて開催されてきたが、今年はデビュー前からの盟友、TIN PANを迎えて開催。細野晴臣(B)、林立夫(Dr)、鈴木茂(G)の3人からなるTIN PANと矢野顕子の活動を振り返れば、部分的な共演などはあったものの、実は4人だけでツアーをまわるのは今回が初めて。矢野いわく「無尽蔵にあるレパートリー」の中から、TIN PANとのライブだからこそ選んだ名曲の数々を、前編・後編の二部構成でたっぷり届けてくれた。

 
 大きな拍手を受けて4人がステージに登場すると、『JAPANESE GIRL』に収録の「大いなる椎の木」からライブは始まった。録音に林と細野が参加した楽曲だ。左手でグランドピアノを、右手でキーボードを弾くという“二刀流”で演奏する矢野。そこにあのキュートな歌声が弾む。さらにジミー・ウェッブの1968年のナンバー「Wichita Lineman」を流暢な英語で歌うと、かつて矢野がピアノを担当したアグネス・チャンの「想い出の散歩道」をカバー。スタジオセッションを楽しむような4人のリラックスした演奏に、客席は静かに耳を傾ける。卓越した技術がありながら、飾り気のないTIN PANの演奏が味わい深い。
 ハンク・スノウのカントリー曲「I'm Moving On」ではゆったりとしたアレンジで、矢野と細野がふたりで歌うと、ティン・パン・アレー(TIN PANのメンバーに松任谷正隆が加わったバンド)のアルバム『キャラメル・ママ』(1975年)に収録の「ソバカスのある少女」では、鈴木がメインボーカルをとる傍らで矢野はキーボードに徹する。さらに細野の名曲「冬越え」では、出だしを矢野が、途中で細野へとボーカルを引き継ぐと、会場は大きな拍手が湧き起こった。そんなふうにTIN PANを大いにフィーチャーした懐かしいナンバーを畳みかけた。
 衣装を着替え、なんと髪型もストレートヘアに変えて再び登場した後半は、大瀧詠一の「水彩画の町」「乱れ髪」などピアノの弾き語りで聴かせた。歌い手でありながらピアニストとしても抜群の演奏力を持つ矢野は、手元の鍵盤はほとんど見ずに、客席を気持ちよさそうに見渡して歌う。その歌声は女性らしい淑やかさと、少女のような可憐さを感じさせながら、自由に踊り、ピアノと一体になる。多くの若いミュージシャンが羨望を寄せるオンリーワンの表現者、矢野顕子。圧巻のステージだった。
 ソロコーナーのあと、はっぴいえんどの「氷雨月のスケッチ」では再び4人が揃って演奏するなか、鈴木がボーカルをとると、いよいよライブは終盤へ向かう。ティン・パン・アレーがキャラメル・ママ名義でアレンジを手がけたアグネス・チャンの「ポケットいっぱいの秘密」では、ハンドマイクで奔放なスキャットを聴かせた矢野。「“さとがえるツアー”は毎年やってるけれど、来年も戻ってくるかは保証の限りではありません。でも、“来るよ”ってなったら、どうぞまたいらしてください」、そうあいさつをすると、ラストナンバー「変わるし」では、色とりどりのライトが照らすステージから躍動感のあるサウンドで会場を盛り上げてライブは幕を閉じた。
 「TIN PANとやるのが私の長年の夢でした。やりたいと思っても、あるでしょ? その時のバイブっていうか、フィーリング、ノリが一致しないと、ね。でも今日、この良き日を迎えることができました」と、ようやく実現した念願のライブへの歓びを噛みしめたアンコール。最後は、中華風のイントロが印象的のナンバー「絹街道」に続けて、矢野の代表曲「ひとつだけ」で締めくくった。
 気がつけば、さとがえるコンサートでありながら、セットリストのほとんどがTIN PAN関連の楽曲が占めた、この日のライブ。40年越しの邂逅は、選曲の節々に矢野顕子の敬意と愛情が溢れた、とても意味深いものだった。
 東京 NHKホールで収録された「矢野顕子さとがえるコンサート2014」は12月31日(水)午後2:00~WOWOWプライムでオンエア。
 
■WOWOW番組情報
「矢野顕子さとがえるコンサート2014」
12月31日(水)午後2:00[WOWOWプライム]
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このページは、asiabizが2014年12月30日 20:00に書いたブログ記事です。

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